「あ?誰だおめぇは。」
男は私を後ろに隠すように引っ張る。
「俺はサボ。今すぐその手を離さねぇと痛い目にあうぞ。」
「お前、革命軍のナンバーツーか!」
腕が解放される。
「そうだと言ったら?」
男はサボを知っていたようで、悪かったなと言って立ち去っていった。
サボがこっちに歩いてくるのがぼやけた視界に映る。
辺りから音が無くなって、擦れたフィルム映画ように頭の中に映像が浮かんでくる。
ーー
《 そのへんにしときな。 》
初めて会った時、さっきみたいに腕を引かれる私を、エースも同じように助けてくれた。
《 俺か?俺の名はエース。
そんなか弱い女に手を出すたぁ、感心しねぇな。 》
《 なんだ、俺の事知ってんのか。 どうだ?俺とやるか? 》
《 ったく、どこのどいつだ。ああいうヤローには気をつけな。 》
そう言って照れたように笑うエース。
ちょっとぶっきらぼうだけど、すごく優しい顔をしていた。
マリンフォードのあの時から靄がかかったように思い出せなくなっていたエースの笑顔。
その靄がゆっくりと晴れていく。
ーーー